アトリエ ハーフ・ムーン

ヘラルボニー展覧会2025 エヴリン・ポスティック、「シャーロット王妃」。

素敵な絵を観てきました。

エヴリン・ポスティック、「シャーロット王妃」。

ヘラルボニー展覧会2025のグランプリ作品でした。

キノコが育っていくような、ゆっくりした時間を感じました。

近づいて、よーく眺めて、とても気持ちがよかったです。

この絵の載ったパンフレット、さっそく飾りました。

毎日眺めます。

たぶん、1年眺め続けても面白いと思う。

そしてもう一回、見に行きたかったな、と思うのです。

2025年のヘラルボニー展覧会でした。531日から614日まで、三井住友銀行東館1Fのアース・ガーデン。

ヘラルボニー展覧会2025のぺージより

作家プロフィール

線が絵に変わる──1989年、フランス・グルノーブルにて独学で絵画、彫刻、ドローイングを始める。線が絵へと変わる瞬間、彼女は日常から解放され夢をみる。そして、自由に形を創造することで開かれる無限の表現への可能性は、彼女の大きな力となるという。生物学、科学、民俗学への深い関心を持ち、“生命の進化”は、創作活動の中心的なテーマとなっている。昆虫や植物、動物など、自然界に存在する驚くべき形や色彩に着目しながら、人と植物、動物とを溶け合わせることで、豊かで多層的な世界を描き出している。長い時間をかけて緻密な点描を積み重ね、無数のディテールを描き込んでいくことで、作品に独特の深みをもたらしていく。キャンバス、トレーシングペーパー、古い海図や歴史を宿す古い紙など、多様な素材を用いることも彼女に新たな着想をもたらし、未知の旅へと導いている。

 

審査員コメント

エヴリン・ポスティックの「シャーロット王妃」(2021年)は、その際立った美しさと高い完成度が非常に印象に残る作品で、今回、見事グランプリを受賞した。カナダのブリティッシュコロンビア州の古地図上に描かれた本作には、海を漂う生物、あるいは地球外生命体ともとれるような形が表現されている。複雑な線が地形図と重なり、交差することで、モアレ模様のような視覚的効果を生み出しており、伝統的な版画やエッチング技法を想起させる。作家は羅針図など地図上の図像的要素を巧みに用いながら、異形のフォルムや画面空間を前面に際立たせ、自在に操っている。

ポスティックの作品世界には、不思議な生命体や動植物・微生物がうごめく、ひとつの成熟した美的・概念的宇宙が築かれている。そこに現れる生命体は、地図や図形、線、形が融合した存在で、さまよう魂のように漂っている。それらに大小のスケールはなく、大陸ほどの大きさにも、あるいは顕微鏡のスライドガラス上で押しつぶされた微小な存在にも見えるのだ。(ハリエット・サーモン)

■展覧会概要

「異彩を、 放て。」をミッションに、障害のイメージ変容と福祉を起点に新たな文化の創出を目指すヘラルボニーが、2024年に創設したHERALBONY Art Prize。世界中の障害のある表現者を対象に、その創作の力を発表する場を提供し、キャリアの芽吹きを後押しすることを目的とした国際アートアワードです。2回目となる今年は、65の国と地域から1,320名の作家が参加し、昨年を大きく上回る2,650作品の応募がありました。その中から選ばれた、グランプリ、企業賞、審査員賞の受賞作品と、ファイナリストの作品を含む65作品を展示します。